こんにちは、相模原の翔工務店です。
もうすぐお盆ですね、地域によって新暦だったり旧暦だったりしますが、お盆の帰省といえば8月です。ではなぜ、8月のお盆に帰省するのでしょうか。
ひとつはご先祖様への墓参りですが、もうひとつ実用的な意味もありました。昔は戸籍や連絡手段が今ほど整っていなかったため、「親族全員の近況確認」「相続や土地の相談」「家の今後を話し合う」貴重な機会でもありました。今はLINEなどの連絡手段には事欠きませんが、親族が集まった時にこそ、相続や実家の将来について話し合うよい機会だと思います。まだ先の事だから、と先延ばしにしているといつまで経っても何も決める事ができません。折角、親族が集まるいい機会ですから、これを機に「相続」の話をしてみては如何でしょう。
「相続」とは、人が亡くなったときに、その人が持っていた財産や権利・義務を、決められた人が受け継ぐことです。受け継ぐものは、家や土地、預貯金、株式などの金融資産、貸しているお金、事業の財産などですが、これらプラスの財産だけではなく、マイナスの財産(住宅ローンの借金、未払いの税金、未払いの家賃や医療費、保証人としての責任など)も受け継ぐことになります。なので「親が亡くなった=預金をもらえる」という単純な話ではありません。
相続は、基本的に人が亡くなった瞬間から始まります。役所に届け出たり、遺産分けの話し合いをしたりする前から、法律上は始まっています。マイナスの財産が多い場合は、相続放棄することもできますが、亡くなったことを知った日から3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
いま住んでいる人が所有者とは限りません。法律上(登記上)の所有者と、実際に住んでいる人・管理している人が違う場合があります。たとえば登記上の名義を変更していない場合などがそれにあたります。令和6年4月から相続登記が義務化されましたが、それまでは、名義変更するかどうかは任意でした。では、登記名義が変更されないまま相続が発生するとどうなるのでしょう?
相続人が増えて、話し合いが難しくなります。昔は兄弟数が多かったため、祖父→父・叔父・叔母→その子供たち、というように、相続人が何十人にもなることもあります。「実家を売りたい」「リフォームしたい」と思っても、全員の関与が必要になる可能性があります。そうなると空き家になるリスクも高くなってきます。
遺言がない場合は、法律で決められた相続人が相続し、相続人全員で話し合って財産の分け方を決めることになります。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を集めて、相続人を確定します。つぎに、誰が何を相続するかを相続人全員で話し合う遺産分割協議を行います。全員の合意がないと、不動産の名義変更や預貯金解約などが進まない場合があります。
特に問題になるのが自宅しか財産がないケースです。家は分けることが出来ないので揉めやすくなります。遺留分に配慮し残された家族への想いを伝えた遺言があれば、揉めずに済みやすくなります。遺言は財産を渡すためのだけのものではなく、残された家族が話し合わなくても済むようにする“家族への最後の設計図”でもあります。
空き家は、親が亡くなった後に突然発生することが多く、相続後に「誰も住まない」「売れない」「片付けられない」で放置されるケースが増えています。空き家になる前の段階で、活用や管理を進めることが重要になります。具体的には、家族で「誰が住むのか」を決めておくことです。
よくある失敗は「長男が継ぐと思っていた」「こどもは戻ってくると思っていた」「兄弟で話し合えば何とかなる」という“思い込み”です。元気なうちに、誰が住むのか、住まないなら売るのか貸すのか、思い出として残すのか、を話しておくことが重要です。
空き家問題は、家が古いから起きるのではありません。家族が“決めないまま時間が過ぎる”ことで起きるのです。
認知症になる前に準備しておくことは、「なってから困ること」を先回りして整理しておくことです。特に財産・医療・住まい・家族への伝達の4つが重要です。
中でも最も大切なのは財産を整理しておくことです。認知症が進むと、本人に意思確認が出来なくなり、銀行や不動産の手続きが難しくなることがあります。そして任意後見契約の検討や、遺言書を準備することも大切です。認知症になった後では、本人が契約できなくなる場合があります。認知症になる前でないと、法律上有効な遺言を作ることが難しくなる可能性があります。「認知症対策」と「相続対策」は別物ではなく、つながっています。
結論からいうと、多くの場合は「家族が争うこと(争族)」。これが一番怖いと思います。相続税は「お金の問題」ですが、争族は「家族関係が壊れる問題」です。法定相続分は決まっていますが、実際の分け方は遺産分割協議で決めるため、話し合いがまとまらないと手続きが進みません。
争族を完全になくすことは難しいですが、かなりの確率で防ぐことはできます。その一つが遺言書を作ることです(最も効果的)。遺言があるだけで「誰が何を相続するか」が明確になります。ただ単に作るだけでは不十分で、なぜその分け方にしたのか、面倒を見てくれた人への感謝、家族への想いなどを「付言事項」として残すことで、家族が納得しやすくなります。相続は、財産を分ける手続きではありません。家族の絆を次の世代へ引き継ぐための準備なのです。
「争族」になる原因は、実はお金の額よりも「感情」の問題であることが多いです。代表的な原因を挙げると、遺言書がない場合、「親はこう思っていた」「自分が一番面倒を見た」と、それぞれが自分の考えを主張し、話し合いがまとまらなくなります。不動産が財産の中心の場合、現金なら分けやすいですが、自宅や土地は簡単に分けられません。「売りたい」「住み続けたい」で対立しやすくなります。生前の親とのかかわり方の違いでは、「介護をしたのは私」「何もしていない兄弟が同じ取り分なのは納得できない」といった不公平感が生まれます。
争族でもめるのは、資産家だけではありません。家庭裁判所の司法統計でも、遺産分割事件は遺産総額5,000万円以下のケースが多く、「うちは財産が少ないから大丈夫」は必ずしも当てはまりません。兄弟姉妹が揉めるのは、財産を奪い合うからではなく、親の想いが見えないからです。
一言で言うと「亡くなった人の財産も借金も、一切受け継がないと決める手続き」です。さらに分かりやすくいえば「相続人ではなかったことにする制度」です。家庭裁判所で続きをすると、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も受け継ぎません。原則として、相続の開始を知ってから3カ月以内に手続きが必要です。
相続放棄を選択するかどうかは、具体的には、借金が財産より多い場合、保証人になっていたなど多額の債務を引き継ぐ可能性がある場合、管理が難しい不動産(空き家・山林・遠方の土地など)しかない場合、争族に関わりたくない(他の相続人との争いを避けたい)場合などがあります。決断するまでに3カ月しかないので、財産の内容をよく調べてから判断することが大切になります。
わかりやすく言うと、法定相続分=「法律が決めた基本の分け方」、遺留分=「最低限これだけはもらえる権利」となります。
法定相続分とは、相続人同士で話し合いがまとまらないときの基準となる割合です。たとえば、妻と子ども2人の場合(遺産2,000万円)だとすると、妻:1,000万円(1/2)、子どもA:500万円(1/4)、子どもB:500万円(1/4)、これが法定相続分です。もっとも、相続人全員が合意すれば、この割合と違う分け方をしても構いません。
遺留分とは、亡くなった人が遺言で「全財産を長男に相続させる」と書いていた場合、それでは残された家族があまりにも不公平になるため、「最低限これだけは請求できますよ」という権利の事です。たとえば、遺産2,000万円、相続人が妻・長男・次男、遺言で「全財産を長男に相続させる」と書かれていても、妻と次男はそれぞれ遺留分を請求でき、長男は遺留分に相当する金額を支払う必要が生じる場合があります。遺留分は、法定相続分の1/2になります。
自分が亡くなった後や、認知症などで管理が出来なくなったときに、スマホやインターネット上の情報を家族が困らないように整理しておくことです。昔の財産は、通帳や印鑑、権利証など「目に見えるもの」でした。しかし今では、ネット銀行の預金、ネット証券の株式、暗号資産など、見えない財産や契約が増えていますが、家族は、あなたのスマホの中を見ることは出来ません。家族に知られないままネット上にある財産は、最終的に国庫に入る可能性もあります。
ネット銀行やネット証券の口座番号、パスワードなどはどこかに控えておいた方が家族のためにも安心です。よくスマホのロック解除ができるように…などと言われてもいますが、亡くなった後とはいえプライバシーは守られるべきだと考えています。家族ものぞき見するようで嫌かもしれませんし、誰にも知られないまま葬りたいことも人それぞれあるはずです。
遺言書は大きく分けて、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、それぞれ特徴が違います。自筆証書遺言は手軽だけど自己責任、公正証書遺言は費用はかかるが一番確実、秘密証書遺言は内容は秘密にできるが使い勝手は低い、といった違いがあります。実務上、相続トラブルを避ける目的なら、特に財産が多い・家族関係が複雑・不動産がある場合は公正証書遺言が選ばれることが多いです。
なお、自筆遺言書には現在、法務局が保管する「自筆証書遺言書保管制度」もあり、以前よりは紛失や発見されないリスクは減っています。遺言は書けば安心ではなく、残された家族が実行できる形にしておくことが大切です。
成年後見制度は、認知症になった後、本人のお金や生活を守るための制度で、家族信託は、元気なうちに将来のお金の管理を家族に託しておく仕組みのことです。一番大きな違いは、成年後見は本人の財産を守る制度で、家族信託は本人の希望通り財産を動かせるようにする制度といえます。成年後見は「認知症になった後の守り」。家族信託は「認知症になる前の備え」ともいえます。
成年後見制度は、認知症になった後の財産管理を守る制度ですが、現在は「使いやすさ」の面で課題があり、本人の希望に沿える制度へ見直しが進められています。
相続税は、亡くなった人の財産を相続したときに、その財産の一定を越える部分にかかる税金です。対象になる財産は、現金・預貯金、不動産(土地・建物)、有価証券、生命保険などです。そこから借金、未払いの税金、葬儀費用などを差し引きます。相続税には「ここまでは税金をかけません」という枠があり、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)といいます。この基礎控除額までなら、基本的に相続税はかかりません。
基礎控除を超えた部分に10~55%の税金がかかります。相続税は、財産をもらった人ごとに単純に税率をかけるわけではなく、いったん法定相続分で分けたものとして計算し、その後実際の取得割合に応じて負担します。
不動産(土地・家など)を複数人で持つ状態になったときにおこりやすい問題です。一言でいうと「全員の同意がないと動かせないのに、全員の考えは一致しない」という怖さです。たとえば親が亡くなり実家を兄弟3人で相続した場合、長男:「実家を売って現金で分けよう」、次男:「思い出があるから売りたくない」、長女:「今は判断できない」と、一人でも反対すると売却できません。修繕や活用の場合も、「お金を出したくない」「誰が負担するの?」「そもそも直す必要ある?」となり、空き家化することもあります。
さらに共有者が亡くなると、その配偶者と子どもが相続することにより共有者が複雑化します。最初は3人だった権利者が、気づけば5人、10人になることもあります。共有名義は問題を後回しにしてるだけなので、早期に解決することが重要です。
前妻前夫は相続人ではありませんが、前妻前夫との間の「子」は相続人です。「前の家族とはもう何十年も付き合いがない」「今の家族で財産を引き継ぐつもり」でも、法律上は別問題です。特に怖いのが「遺産分割協議」。子の存在を把握していないケースでは「えっ、こんな子いたの?」という事もあり得ます。
相続対策では「再婚している」「前婚との間に子がいる」「前婚との子と交流がない」この3つがそろっていたら、早めに相続対策を考えるべきケースです。そしてその対策として重要なのが、遺言書。ただし「遺言を書けばすべて解決」ではなく、遺留分があるため、そこまで考えて準備する必要があります。「再婚したら、相続人もリセットされる?」答えは「されません」。
例えば、兄弟の一人と何十年も連絡を取っていないとしても、その人が相続人なら、遺産分割協議から外すことはできません。特に注意したいのは次の5つです。「連絡が取れなくても相続人である」「遺産分割協議には相続人全員の合意が必要」「疎遠だった人のところまで戸籍をたどることになる」「相続人が亡くなっていると、さらに人数が増えることがる」「遺言書があっても完全に無視できるとは限らない」。
「連絡が取れない」「仲が悪い」「もう家族ではない」、これらは相続人ではなくなる理由にはなりません。
とりあえず放置が一番危険。「誰も住まないけど、とりあえずそのままにしておこう」これが一番ありがちなパターンです。すると、庭が荒れる、建物が傷む、雨漏り・漏水に気付かない、不法侵入・不法投棄、害虫・害獣、近隣からの苦情などにつながります。
「誰も住んでいないから関係ない」ではありません。所有者には適切に管理する責任があります。特に、管理不全の空き家として周囲に悪影響を及ぼすと、行政から対応を求められる可能性があります。空き家になったら、売る、貸す、自分や家族が使う、解体するなど、早めに方向性を決めることが重要です。空き家は、時間が経つほど「資産」から「負動産」へと変わっていくことがあります。
「独身だから相続人はいない」とは限りません。親が亡くなっていても、兄弟姉妹、兄弟姉妹が亡くなっていれば、その子(甥・姪)などが相続人になる場合があります。亡くなった後には、自宅や賃貸住宅の整理、預貯金、不動産、電気・ガス・通信契約、サブスク、スマホ・パソコン、遺品整理、ペット、葬儀・納骨など、誰かが対応しなければなりません。また認知症になった場合も考えておく、ここが大きなポイントとなります。だから元気なうちに将来の財産管理を考えておくことが重要です。
たとえば、任意後見、財産管理委託、遺言、家族信託など、目的に応じた仕組みがあります。全てを一人で準備する必要はありませんが、「認知症になったとき」「亡くなったとき」「亡くなった後」を分けて考えるのがポイントです。
「一度遺言書を作ったら、それで終わり」と思いがちですよね。でも実際には、遺言を書いた時と、亡くなったときでは、家族も財産も状況も変わっている可能性があります。たとえば、遺言書を書いた後に子供が結婚した、孫が生まれた、子供が先に亡くなった、不動産を売った、新しく不動産を買った、預貯金が大きく変わった、家族との関係が変わったなど、こうなると「昔は最適だった遺言」が、今も最適とは限らなくなります。
遺言書は作ることも大切ですが、見直すことはもっと大切です。ある想いを込めて書いた遺言が、状況が変わった事で、自分の意図することとは正反対の結果を招くこともあり得るのです。あなたの遺言書、最後に見直したのはいつですか?
「借りている土地だから、相続するものなんてない」と思いがちですが、実は、建物を所有するために土地を借りている場合、その借地権も相続の対象になります。借地権は「借りているだけ」でも財産になります。「土地は親の財産じゃないから関係ない」と思いがちですが、建物と借地権を相続することになります。また「借地権だから売れない」とは限りません。借地権には財産的価値がある場合があります。
逆に、借地権をどうするかを考えずに相続すると、後で困ることがあります。さらにその建物をどうするかが重要です。誰も住まない実家なら、「建物を解体して更地にして返せばいい」と簡単に考えてしまいがちですが、契約内容や地主との関係によって対応が変わります。勝手に解体するのではなく、まず契約内容を確認する必要があります。
答えは「防ぎやすくはなる。でも、絶対ではない」です。例えば、遺言書に「自宅は長男に相続させる」と書いてあったとしても、他の相続人が納得していない、遺留分の問題がある、遺言書の内容が現在の家族関係と合っていない、財産の分け方が極端に偏っているなどの場合、争いになる可能性があります。遺言書には「誰に何を残すか」を書く。でも本当に大切なのは「なぜ、そう分けたのか」ではないでしょうか。
例えば「自宅は長男に相続させる」とだけ書かれていたら、次男や長女は「なんで兄だけ?」と思うかも知れません。ところが「長男には長年この家を管理してもらってきた。今後もこの家を守ってほしいので、自宅を相続させる」と、本人の気持ちが残されていたら、受け止め方は変わるかも知れません。付言事項を書けば争いが無くなるわけではありません。でも、遺言書を「財産の振り分け表」だけにしない事には意味があります。
兄弟3人で、親の財産を相続することになりました。財産は3,000万円。「3人で1,000万円ずつ、これが一番平等だよね」。一見すると、その通りです。でも、本当に「公平」でしょうか?
例えば、長男は親の近くに住んで、何年も介護をしてきた。次男は遠方に住んでいたため、介護はほとんどできなかった。長女は、親の家の管理や病院への付き添いをしてきた。そんな家族だったら、「3人とも同じ1,000万円」=「公平」と言い切れるでしょうか?
さらに財産の中に「実家」があったら、もっと話は複雑になります。「平等」とは、みんなを同じように扱うこと。一方、「公平」とは、それぞれの事情を考えて、納得できる状態を目指すこと。似ているようで、少し違います。そして相続で難しいのは、「法律上の平等」と「家族が感じる公平」が、必ずしも一致しないという事です。
サブスクは、本人が亡くなったからといって自動的に全部解約されるわけではありません。ここは「デジタル終活」でかなり盲点になりやすいところです。
サービスによって扱いは違いますが、死亡を理由に解約手続きをしない限り、契約が残り続けたり、料金の請求が続いたりするケースがあります。特に怖いのが「クレジットカード払い」。本人が亡くなった後も、サブスク契約→登録してあるクレジットカードへ請求→カード会社が請求→口座から引き落とし、という流れが続くことがあります。カードを解約すれば全部止まる、と考えるのも危険です。未払いになった料金があれば、相続人が対応する必要が出てくる可能性があります。そして「何の契約をしていたのか分からない」という問題、これがデジタル終活の難しいところです。
「スマホには何が入っている?」と考えると、実は大きく2種類あります。
スマホに残る「財産」→ネット銀行・証券口座、暗号資産、電子マネー・ポイント、通販サイトの残高や未使用ポイント、サブスク契約、有料アプリなど、スマホそのものより、スマホの中に「お金につながる情報」が残っているわけです。
一方で、もっと扱いが難しいのが、スマホに残る秘密→家族に見られたくないLINE、個人的な写真や動画、SNSのDM、検索履歴、誰にも言ってない交友関係など。ここが、デジタル終活の面白くて怖いところです。「財産は見つけてほしい。でも秘密まで見つけてほしいわけじゃない。」この矛盾があります。
そして相続の現場では、「亡くなった人のスマホを、家族が勝手に開いていいのか?」という、財産だけではなくプライバシーの問題にもつながります。「あなたが亡くなったあと、家族に見つけてほしいもの、見つけてほしくないものは何ですか?」
相続税がかからなくても、相続対策は必要です。むしろ、一般の家庭では「相続対策」よりも「相続手続き・財産整理・家族間のトラブルを防ぐ対策」の方が重要なケースも多いです。例えば、相続税はゼロでも「争族」は起こる。財産が基礎控除以下でも、実家を誰が相続する?、預貯金をどう分ける?、兄は親の面倒を見ていた、妹は生前にお金をもらっていたなどで、兄弟姉妹が揉めることがあります。
「税金がかからない=揉めない」ではありません。相続税がかからない人ほど、相続対策なんて必要ないと思っている。でも、本当に怖いのは税金ではないのです。
「お母さん、銀行の通帳って何冊持ってるの?」そう聞かれて、すぐに答えられる人は、意外と少ないのではないでしょうか。
「たぶん、○○銀行とゆうちょ銀行……」「あと、昔から使っている銀行があったような……」。実は、相続の現場では、この「たぶん」が後になって困ることがあります。昔作った銀行口座、ほとんど使っていない定期預金、給与や年金の振込口座、通帳を発行していないネット銀行などがあると、「どこに、いくらあるのか」を調べるだけでも一苦労です。親が亡くなってから、「そんな口座があったなんて知らなかった」となる可能性もあります。相続で大切なのは、財産を「持っていること」だけではありません。家族が、その存在を把握できる状態にしておくこと。これも立派な相続対策です。
「親の家を片付けていたら、何に使うのか分からないものが大量に出てきた」。例えば、古い切手やコイン、骨とう品・美術品、貴金属、時計、古いカメラ、趣味で集めたコレクション、昔の写真や手紙、記念硬貨、ブランド品、商品券・金券など。そして怖いのは、価値が分からないまま、遺品整理で「不用品」として処分されてしまうこと。
特に相続では、「財産=現金・預金・不動産」と考えがちですが、実際には親自身しか価値を知らないものが家の中に眠っていることがあります。親が集めていたものには、親の人生が詰まっています。だから相続準備は、財産の棚卸だけでは足りないのです。「これ、何?」親の家から出てきた“よく分からないもの”を、勝手に捨てていませんか?
「財産=価値のあるもの」と思いがちですが、実際には相続人にとっては「お金を払ってでも手放したい財産」があります。例えば、古い家・空き家、山林・原野、古い車やバイク、大量の家具・家財、骨とう品やコレクションなど。特に怖いのは「売ればお金になる」ではなく、「持っているだけでお金と手間がかかる」財産です。
では、価値のない財産を、相続人に押し付けないためにどうするか。基本は「元気なうちに整理する」です。特に不動産は厄介です。古い家→解体費用がかかる、山林→買い手が見つからない、別荘→維持費や管理費がかかるなど。つまり「財産として残っている」ことと「相続人にとって価値がある」ことは別問題なんです。では、どうするか? ①売れるものは生前に売る ②譲れるものは、元気なうちに譲る ③処分できるものは、少しずつ処分する ④どうしても残すなら「誰が、どうするか」を決めておく
相続対策というと「どうやって財産を増やすか」「どうやって税金を減らすか」と考えがちです。でも、本当に家族のためを思うなら、「何を残すか」だけでなく、「何を残さないか」を考えることも大切です。
親に「そろそろ相続の事を考えた方がいいんじゃない?」といったら、「もう死ぬと思っているのか!」「財産なんて何もない!」「お前たちには迷惑をかけない!」と怒られた。実は、これにはいくつか理由があります。
「相続の話=死の話」に聞こえるから、「自分が死ぬことを前提にされている」ように感じることもあります。子どもは「将来困らないために」と思っていても、親には「早く死んでほしいと言われている」ように聞こえてしまう。「財産を狙われている」と感じることもある。「通帳はどこ?」「土地は誰の名義?」「いくら預金があるの?」こう聞かれると、親としては「自分のお金を早く分けたいのか?」と警戒してしまうこともあります。「まだ自分は大丈夫」と思っている、これも大きいです。
でも、ここが大事なんですよね。「相続の話は、親が亡くなるための話ではありません」むしろ「親が元気なうちにしかできない話」なんです。「いくら財産があるの?」から始めると、親は身構えます。それより「もし何かあったとき、お父さん・お母さんの希望をちゃんと守れるように、少しだけ聞いておきたい」という入り方の方が、ずっと話やすいです。相続の話をすると親が怒る。でも、怒られるからといって先延ばしにしていい話でもありません。大切なのは「相続の話をすること」ではなく、「親の人生の希望を聞くこと」です。
一見、親が子どもに「自由にしていい」と言っているようですが、実際には逆です。「好きにしろ」では、誰が何をどうするのかが決まっていない。例えば実家なら「売るのか、残すのか」「誰が住むのか」「誰が片付けるのか」「解体するのか」…これだけでも、家族で意見が分かれる可能性があります。さらに預金、車、貴金属、コレクション…。「好きにしろ」と言われても、相続人は「親が本当はどうして欲しかったのか」が分からない。
そして厄介なのは、相続人同士で意見が割れたときです。「俺が死んだら好きにしろ」ではなく、「俺はこうして欲しい」を残す。「好きにしろ」は、家族への自由ではなく、家族への宿題かもしれません。本当の家族のことを思うなら、「あとは好きにしろ」ではなく、「俺はこうして欲しい」まで伝えておく。それが、残された家族への最後の気遣いなのかもしれません。
親としては「兄弟なんだから、揉めずに分けてくれるだろう」という願いなのかもしれません。でも、残された子供たちからすると「仲良く」の中身が分からないんですよね。
例えば実家が1軒、預金が1,000万円だったとします。兄は「家は売って現金で分けよう」、弟は「思い出の家だから残したい」。では、どうするのか? 「仲良く分けろ」と言われても、そもそも公平の基準が違う。「長男は親と同居していた」「次男は遠方に住んでいた」「介護をしていたのは長女」「親から生前に援助を受けていた子がいる」となれば、単純に「3等分」で納得できるとは限りません。だから本当に伝えるべきなのは「仲良く分けろ」ではなく「私はこう考えている」なのだと思います。
そして、ここで遺言書の意味が出てきます。遺言書は、単に「誰にいくらあげる」という紙ではありません。親が元気なうちに、自分の意思を家族に伝えておくもの。「お前たちで仲良く分けろ」親にとっては、子どもへの信頼の言葉。でも、子どもにとっては「じゃあ、どう分ければいいの?」という宿題になることがあります。仲良くしてほしいなら、仲良くできるように、親が決めておく。それも、親にしかできない相続対策です。
相続の話を切り出したら、親からこう言われる。「縁起でもない」「まだ死んでない!」「そんなことは死んでから考えればいい」でも、ここに相続の難しさがあります。親が亡くなってからでは、親本人に聞けないことがたくさんあるんです。「この土地どうしたい?」「この家は残したい?」「誰に何を渡したい?」…、亡くなったあとに家族が推測するしかない。
そして、もっと困るのが、認知症などで判断能力が低下した場合。「死んでから考えればいい」と先送りした結果、「生きているのに本人に聞けない」状態になることもあります。だから相続の準備は、「死ぬための準備」ではなく、「元気なうちに、自分の意思を伝えておく準備」と考えた方がいいです。
「まだ死んでない!」そう言われるのが怖くて、相続の話を避けていませんか? でも、本当に怖いのは、親が亡くなったあとに「あの時、聞いておけばよかった」と後悔することかもしれません。相続の話は、死を待つための話ではありません。親が元気で、自分の言葉で話せるうちにしか聞けないことがある。「まだ死んでない!」と言われる前に、「これから、どうしたい?」と聞いてみませんか。
「うちは財産なんてないから、相続対策なんて必要ない」。実は、ここに大きな落とし穴があります。相続対策というと、どうしても「相続税を減らすこと」だと思われがちです。でも、相続税がかからない家庭でも、相続は発生します。そして問題になるのは、税金ではなく「誰が、何を、どう引き継ぐのか」です。
例えば財産が、預金300万円、古い実家、車1台、少しの家財くらいだったとしても、兄弟で「実家どうする?」となれば話は変わります。「売りたい」「残したい」「親と同居していたから自分が住みたい」「介護していた自分がもらうべき」それぞれに事情や思いがあります。さらに、財産が少ないほど、分け方の選択肢が少ないという問題もあります。だから、相続対策は、財産が多い人だけのものではありません。むしろ「うちは財産がないから大丈夫」と思っている家庭ほど、何を残すのか、誰が受け継ぐのかを考えておく必要があります。
相続で大切なのは、「いくら残すか」だけではありません。「家族に何を残し、何を残さないか」。そして、「家族にどんな負担を残さないか」そこまで考えることが、本当の相続対策なのかもしれません。
例えば、相続税を100万円減らせたとしても、「兄弟が揉める」「実家が空き家になる」「誰も欲しくない土地が残る」「親の希望が分からない」「大量の家財を子どもが処分する」そんな状態になってしまったら、本当に相続対策ができたと言えるでしょうか?
相続対策で大切なのは、税金をいくら減らすかだけではありません。「家族が困らないこと」。そして「親自身が望む形で、財産や暮らしを次の世代につなぐこと」が本当のゴールではないでしょうか。
相続対策のゴールは「税金を安くすること」ではありません。税金を減らすことは、相続対策の一つの手段です。でも、そのために家族が揉めたり、使い道のない不動産を残したり、親の希望が誰にもわからなくなったりしたら、本末転倒です。大切なのは、「いくら節税できたか」ではなく、「家族に何を残し、何を残さなかったか」。そして、相続を終えた時に、「親がこうしてくれてよかった」と家族に思ってもらえること。それこそが、相続対策の本当のゴールかもしれません。
普通は「財産を残すこと」が親の務めのように思われがちですが、実は逆の場合もあります。家、土地、家具、車、通帳、コレクション…。親にとっては「財産」でも、子どもにとっては、『どう処分すればいいの?』という宿題になることがあります。特に難しいのが不動産です。「実家は子どもに残したい」そう思っていても、子どもはすでに自分の家を持っている。住む予定もない。売ろうとしても簡単には売れない。それでも親は、「せっかくの家なんだから、残しておけばいい」と思ってしまう。でも、本当に家族のためを思うなら、「残す」だけではなく、「手放しておく」ことも選択肢なんですよね。
「何かを残す」より、「何も残さない」ほうが難しい。財産を残すことは、親にとって安心なのかもしれません。でも、残された家族にとっては、それが負担になることもあります。家も、土地も、物も、お金も。「これは子どもに残した方がいいのか?」そう考えることも、立派な相続対策です。本当の意味で家族を思うなら、「何を残すか」だけではなく、「何を残さないか」。そして最後には、「何も残さず、家族に迷惑をかけない」という選択肢があってもいいのかもしれません。
「親が建てた家を、子どもが壊す」。言葉だけ聞くと、なんだか親不孝に感じるかもしれません。でも、「誰も住む予定がない」「維持費や修繕費がかかる」「空き家のままでは、周囲にも迷惑をかける」。そんな家なら、「壊す」という選択が、家族にとって一番いいこともあります。「親が建てた家だから…」と残し続けた結果、最後は子どもが自分のお金で解体することになるかもしれません。
家を壊しても、そこで過ごした時間まで壊れるわけではありません。家を残すことだけが、親の思いを受け継ぐことではない。ときには、家を壊して土地を次の世代につなぐ。それもまた、親から受け継いだものを大切にする、一つの方法なのかもしれません。
「実家を残す=親孝行」ではない。むしろ、親が亡くなった後も誰も住まない実家を何十年も維持することが、子どもにとって大きな負担になることがあります。固定資産税、修繕、庭の手入れ、火災や防犯の心配、近隣への配慮…。「親が大切にしていた家だから」と手放せないまま、時間だけが過ぎていく。そして最後には、「もっと早く売ればよかった」「もっと早く壊せばよかった」となることもあります。大切なのは、家そのものを残すことではなく、親がその家に込めた思いをどう受け継ぐかなのではないでしょうか。
実家を残すことが、親孝行とは限りません。誰も住まない家を維持することが、子どもにとって大きな負担になることもあります。親が大切にしていたのは、「家」という建物だったのでしょうか。それとも、そこで家族が笑って暮らした時間だったのでしょうか。家を手放しても、思い出はで手放す必要はありません。「残す」だけが、受け継ぐ事ではありません。時には実家を手放すことが、親の思いを次の世代につなぐ選択になることもあるのです。
「知らない口座が見つかる」ことは、相続では意外と珍しくありません。特に怖いのは、相続人が「銀行口座はこの2つだけ」と思って手続きを終えた後に、別の口座が出てくるケースです。なぜ見つからないのか、昔作った地方銀行の口座、定期預金だけ残っている口座、ネット銀行、亡くなった本人も忘れていた休眠口座などの場合があります。
死亡後に見つかったらどうなる? 基本的には、その預金も相続財産です。遺産分割協議が終わった後に見つかった場合でも、当然ながら「なかったこと」にはできません。相続税の申告が必要なケースであれば「申告した財産に漏れがないか」という問題も出てきます。だから「財産調査」が大切になります。相続対策というと「遺言書を書きましょう」「相続税を節約しましょう」という話になりがちですが、その前に、「そもそも、親が何を持っているのか分かっていますか?」という問題があります。「本人しか知らない財産」が、相続では大きな落とし穴になります。
「子どもがいない=配偶者が全部相続する」ではありません。たとえば夫が亡くなった場合、妻が相続人になるのは当然ですが、夫の親や兄弟姉妹が相続人になる可能性があります。つまり、子どもがいない夫婦の場合、親が健在なら親、親が亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人になることがあります。さらに兄弟姉妹がすでに亡くなっていても、その子ども(甥・姪)が相続人になる場合があります。
たとえば、夫婦2人暮らし、夫には子どもがいない。夫の両親はすでに亡くなっていて兄が1人いる場合。夫が亡くなると、妻だけが相続人ではありません。妻と兄が相続人になります。そして、ここからが「子どものいない夫婦」の怖いところ。夫婦で長年暮らしてきた自宅が夫名義だった場合、妻と夫の兄との間で遺産分割の話し合いが必要になることがあります。「兄とは仲がいいから大丈夫」と思っていても、兄が亡くなっていれば、その相続人である甥・姪が関係してくることもあります。だから子どものいない夫婦こそ、「自分が先に亡くなったら、誰が相続人になるのか?」を一度確認しておくことが重要です。
「親が誰かに貸した100万円」原則として相続できます。たとえば、お父さんが知人に100万円を貸していて、まだ返してもらっていない状態で亡くなったとします。この100万円は、現金としてお父さんの手元にあるわけではありません。でも、お父さんには「100万円を返してもらう権利(貸金返還請求権)」があります。この「返してもらう権利」も相続財産です。
たとえば、父が「息子に100万円貸した」。父が亡くなり息子が「もう借金は終わったでしょ」とはいきません。その貸金返済権は相続人に引き継がれます。ただし、ここで問題になるのが「本当に貸したの?」ということです。借用書がない、振り込み記録もない、返済期限も決めていない…。こうなると、相続人が「貸したお金がある」と主張すること自体が難しくなる場合があります。そして面白いのが「親が誰かに貸したお金」だけではないということ。「誰かの連帯保証人になっている」「誰かからお金を借りている」。こうした「権利」や「義務」も相続に関係してきます。つまり相続は、「親が何を持っていたか」だけでなく、「親が誰と、どんなお金の関係を持っていたか」まで調べないと、本当の財産状況は分からないのです。